新鮮な和牛ホルモンは、市販のホルモンと全く別物でした

以前、仕事で転勤になり、山形県の米沢市に住んでいたことがあります。米沢市は山形県の最南端に位置する豪雪地帯です。寒暖の差が激しいこの土地には美味しい食べ物がたくさんあり、その中でも米沢牛は有名です。この土地に一人暮らしをする上で、美味しい食べ物が食べられたことが、唯一の救いでした。

そんなあるとき、仕事場の先輩に連れられて、牛ホルモンを食べさせてくれる店に行ったことがあります。その店の外見は、一見古い平屋の一軒家に見えますが、中に入るとモクモクと煙が充満する部屋の中にお客さんが大勢見えます。席に着くと、炭の入った七輪が出てきて、その上に店員が網を載せました。今時、こんな昔ながらの雰囲気に浸れるとは思いもしなかった私は、これからどんな肉が出てくるのかワクワクして落ち着きません。メニューを見ると、この店の人気メニューでもある牛ホルモン、そしてカシラ、レバーなどのたくさんの種類がありました。店員に聞くと、米沢牛だけを扱っている業者から直接買い付けているらしく、特に牛ホルモンは丁寧に下処理をしているので絶品だとのこと。それであればと、私たちは最初に牛ホルモンを注文したのです。

しばらくすると、牛ホルモンが盛られた皿を持って店員が現れました。そして、テーブルにその皿を置いたのです。これまで食べてきたホルモンはダラーとしていて締まりがありませんが、このホルモンの見た目はどこかはりがあってプリッとしています。早速網に乗せて焼いて行くと、普通は縮み上がるのですがこのホルモンはプリッとしたままです。焼き上がって、ニンニクが入った醤油ダレに絡めて口に運ぶと、やはり弾力が強く噛み応えがあって臭みもありません!今までに味わったことのない美味しさでした。さすがに新鮮な和牛のホルモンは一味も二味も違います。

それからしばらくして、市販のホルモンを食べる機会がありましたが、以前は好きだったそのホルモンを食べることができないほどでした。今は米沢に暮らしていないので残念ですが、米沢に行く機会があれば、是非もう一度味わいたい食べ物であります。